エンジニアへの転職の最後のステップとして「Step8:内定後の手続き」があります。
転職活動は「内定をもらえば終わり」というイメージを抱きがちですが、内定後の退職の手続きの進め方や入社までの流れを把握し、滞りなく退職することが円満な転職を行う際のポイントとなります。
今回は、内定後に必要となる手続きの種類やポイントについて解説していきます。
目次
内定後受領後の手続きについて
転職活動は、企業からの内定を貰ったからと言っても、即座に転職先企業に入社できるわけではありません。
転職先企業への入社の手続きを行うのと並行して、現在の職場での退職手続きや関係者への挨拶回り、貸与品の返却など、諸々の手続きを滞りなく進めて初めて転職活動は完結します。
ここからは、内定受領後に行う手続きについてご紹介していきます。
■「Step8:内定後の手続き」のイメージ図
内定後の手続きの種類と流れ
転職先企業から内定を貰った後には、転職先や現職企業への各種手続きを実施していきます。
転職先企業からの入社手続き書類の受領と送付を行うと共に、現在の会社への退職願の提出、や後任者への引継ぎや挨拶周り、退職と入社といった流れで全体の手続きが進んでいきます。
ここからは、各工程で特に重要となるポイントについてご紹介していきます。
退職するまでに注意すべきポイント
転職先企業から内定を貰った後は、転職後の生活について考えてしまい、気持ちが緩んでしまいがちです。
しかし、現職の退職手続きで揉めてしまったり、問題を抱えてしまってはせっかくの転職が台無しです。転職後の企業で新しい生活を始める為にも、まずは目の前の手続きをこなし、現職の職場を円満に退職出来るよう努める必要があります。
転職先や退職時期が決まった際には、退職する事を同僚や顧客先など、周囲に伝えてしまいたくなるものです。しかし、後任者や今後の業務の見通しが立っていない段階で退職の話をしてしまうと、社内の関係者や顧客に余計な心配をかけたり、混乱させる事にもなりかねません。
退職を行う事が確定しても、自分の退職後の業務の目途が立つまでは不用意に周囲に伝えないように注意し、顧客先へのあいさつや後任者の紹介は、上司の了承を得てから行うようにしましょう。
また、後任者への引継ぎは資料に纏め、返却物や受領物、退職時の手続きにはどのようなものがあるのか事前に確認しておくなど配慮が必要です。
転職席が決まると浮ついた気持ちになってしまうのは当然ですが、退職のタイミングこそ周りから自分の仕事ぶりが見られている事を自覚し、より丁寧な仕事を行うように心掛けましょう。
特に、 転職先がこれまでの勤務先と同じ業界の場合には、現在の職場ともめたり、悪いうわさが流れてしまっては転職先への悪いイメージにも繋がりかねません。最後まで気を引きしめ、気持ちよく退職が行えるように気を付けましょう。
■退職までの注意点
・業務の見通しが立つまで、退職する事を不用意に周囲に伝えない
・お世話になった顧客へのあいさつ回りや後任者の紹介は、上司に確認して行う ・後任者への引継ぎをしっかり行い、引継ぎの情報を資料にまとめる ・返却物や受領物など、必要な手続きを事前に確認しておく |
退職を切り出すタイミングについて
転職先の企業が決まった際にまず悩むのが、退職の意思を上司に伝えるタイミングです。
転職先の業務開始時期との兼ね合いもあるため、退職についての上司への報告は出来るだけ早く行うべきですが、後任者への引継ぎや各種手続きの期間を考慮して、2か月前には届出を行うのが一般的です。
また、企業によっては就業規則にいつまでに届け出なければならないか記載されている事もあるため、あらかじめ自社の就業規則を確認し、就業規則に書かれた時期よりも前に退職の意思が伝えられるように注意しておきましょう。
退職の届け出は直属の上司に対して行う事になりますが、現在担当している業務の状況や引継ぎ事項の有無を考慮して具体的な退職の日取りを決定する事になります。
上司に退職意思を伝える際には、自分の担当する業務の状況や転職先企業の都合を整理して、退職を希望する時期をいくつか考えておきましょう。
「退職願」と「退職届」のどちらを提出すべきか?
上司に退職意思を伝える書類は、「退職願」と「退職届」の2種類が存在します。
退職時にどちらを提出すべきか悩んでしまう方もいるかもしれませんが、自己都合で円満な退職を行う場合には「退職願」を提出し、会社都合などで退職が確定しているものは「退職届」を提出する事になります。
自分の意志で転職を行う場合には、「退職願」を提出して会社に対して退職意思を伝えるようにしましょう。
また、直属の上司には、いきなり「退職願」を提出するのを避け、事前に退職意思を伝えて退職時期などの相談を行ってから、書面の提出を行うように注意しましょう。
「退職願」と「退職届」は、白地のB5サイズの用紙に黒のボールペンで退職の意思を記載し、封筒に入れて提出を行うのが一般的です。
上司や同僚にこれまでの感謝の意思を伝える書面でもある為、気持ちを込めて丁寧に書くように心掛けましょう。
■「退職願と「退職届」の違い
退職願 | 自己都合による退職の場合に提出。
会社に伺を立てるという意味がある。 |
退職届 | 会社都合でやめる場合に提出。
退職が事前に確定している際に使用。 |
お世話になった方への挨拶について
退職の日取りが具体的に決まったら、社内や顧客先のお世話になった方々に感謝の気持ちを伝えましょう。
社内でお世話に方には、直接伺って挨拶周りを行ったり、電話でこれまでの感謝の気持ちを伝えるように心掛けましょう。
また、顧客先についても、現在の職務で後任者を紹介するだけでなく、お世話になった方については挨拶周りや電話での連絡をしておくべきです。
特に、これまで良い関係が築けていた顧客先は、今後の社会人生活でもお付き合いする可能性がある為、現在の仕事の在職中に、感謝の気持ちと合わせて次の勤務先を伝えるようにすると良いでしょう。
社内のメンバーや遠方の関係者に対してこれまでの感謝を伝える手段として、「挨拶状」を送る方法もあります。
この「挨拶状」は、在職中でお世話になった方への感謝の気持ちや、今後の社会人生活でも変わらぬ付き合いをお願いする為のもので、一般的に退職後に提出するべき書状となります。
まれに、在職中に社内のメンバー宛に挨拶状や退職挨拶のメールを送る人も居ますが、この行為は現職の方に対して失礼になる場合もあるため、控えるようにしましょう。
挨拶状を書く際には、いろいろな事を書きたくなってしまうかもしれませんが、これまでの感謝の気持ちを書くのに留めるようにし、ネガティブな気持ちや退職理由については記載しないように気を付けましょう。
引継ぎや返却物、受け取るものについて
転職活動が順調に進んだ場合には、現職の仕事が手につかなくなってしまう人も少なくありません。しかし、周りの人間から見られているという事を意識して、残された仕事を最後まで行うように気を付ける必要があります。
現職の仕事を辞める際には、一般的に後任者への業務の引継ぎを行う事になります。引継ぎを行う際に注意するべきポイントとして、引継ぎ事項をメモや資料などの書面で残し、後任者が困らないように配慮を行う事が挙げられます。
引き継ぎを行う側も、引き継がれる後任者の側も、同じ人間です。「言ったつもり」になって引継ぎ漏れが発生したり、「分かったつもり」になってメモがおろそかになってしまうのはよくある話です。
自分が退職した後でも、後任者が業務上の疑問や不明点があった際には役立てられる情報をしっかりと資料に残して、円満な退職が行えるよう気を配りましょう。
また、転職時に疎かになってしまいがちなのが、会社からの貸与物の返却と受領するべき資料の受け取りです。退職後に企業からの連絡が来て慌てて探す事が無いように、事前に返却物や受領物の確認を行い、頭に入れておくようにしましょう。
企業への返却物の代表的な例としては、社員証や保険証、名刺、パソコンなどの備品などがあります。一方の会社から受け取るものには、雇用保険被保険者証や年金手帳、離職票や源泉徴収票など、どれも重要な書類となります。
これらの返却物や受領物は、返却し忘れや受領のし忘れが無いように、事前にリストアップしてチェックしながら返却や受領を行うようにしておくと良いでしょう。
■会社への返却物の例
・社員証
・保険証 ・名刺 ・パソコン ・備品 |
■会社からの受領物の例
・雇用保険被保険者証
・年金手帳 ・離職票 ・源泉徴収票 |
社会保険、税金、雇用保険の手続きについて
転職に必要な手続きの最後のポイントとして、保険や税金の手続きがあります。
手続きを行う必要があるのは、社会保険や税金、雇用保険の手続きで、これらの手続きが完了する事で、無事に転職活動が終了した事になります。
一般的に、企業に在職している期間中は、健康保険や厚生年金保険は企業が半額負担しています。その為、会社を辞めてしまうと、保険料の全額を自分で支払う必要が出てきてしまいます。
すぐに転職先が決まった場合には、転職先の企業で手続きを受ける事で手続きが完了しますが、先に退職を済ませて転職先が決まっていない場合には、国民健康保険に加入するなどの対応を行う必要があります。
また、税金の手続きとしては、退職時の源泉徴収票を転職先の企業に提出して年末調整を行う事で、所得税や住民税の手続きを行う事が出来ます。
保険料も税金の手続きも、転職先が決まっている場合にはあまり悩む事はありませんが、転職先が決まっていない場合には、失業保険の給付を申請するなど、どのように対応するべきか考えなければならない場合も出てきます。
転職活動を行う際には、転職先の会社を見つける事ばかりに気を取られがちですが、退職時に必要な手続きの種類や数を把握していない事で、退職時に慌ててしまうケースも少なくありません。
退職時に必要となる手続きについては、あらかじめ総務や人事課に確認しておくなど、後から困らないように先手を打っておくように注意しておきましょう。
まとめ
今回は、内定受領後から転職先企業への入社までに行うべき手続きについてご紹介しました。
転職活動を行う際には、理想の転職先を見つける事ばかりに気持ちがいってしまいがちですが、退職や入社に必要な手続きが多数ある事を事前に把握しておかなければ、後になってから慌ててしまう事になりかねません。
退職手続きと入社手続きをスムーズに進めて円滑な転職を行うためにも、必要な手続きについて事前に調べておくように心掛けましょう。