世の中には、色々なIT関連のイベントが開催されていますが、みなさんは参加したことがあるでしょうか?
今回は、2019年の8月27日に参加した「ロジスティクスソリューションフェア2019」の体験レポートをご紹介します。
目次
「ロジスティクスソリューションフェア2019」とは?
公式ページ:http://jils-lsfair.jp
イベントの概要
「ロジスティクス」とは、原材料の調達から生産、販売までの「物流業」の一面に加えて、設備のメンテナンスや製品のライフサイクル管理もふくめた、広い範囲の業務を指す言葉です。
「ロジスティクスソリューションフェア」は、「ロジスティクス」分野の業務上の課題を解決するための最新技術や製品、サービスを紹介するイベントで、2年に一度のペースで開催されています。
2019年の今回は、「新たなテクノロジーがもたらすロジスティクスイノベーション-環境変化に対応したAIR(AI、IoT、RPA)の活用に向けて-」というテーマで、「AIやIoT、RPAなど、近年注目されている技術の活用」に焦点をあてたイベントとなっていました。
開催日/会場情報
「ロジスティクスソリューションフェア2019」は、2019 年8月27日(火)と、8月28日(水)の2日間にわたり、東京ビッグサイトの西3ホールで開催されました。
今回は、開催日の初日にあたる2019年8月27日(火)のイベントに参加してきました。
開催日 | 2019年8月27日(火)~8月28日(水) |
開催場所 | 東京ビッグサイト/西3ホール |
2019年の来場者数
「ロジスティクスソリューションフェア」は多くの展示企業/来場者でにぎわうイベントです。
毎回の来場者数は1万人以上を記録しており、「ロジスティクス分野のITソリューション」に関する国内でも有数の大イベントとなっています。
2019年の来場者数は1日目の8/27(火)に6,893名、2日目の8/28(水)に7,389名でした。2日間の合計で14,282名もの来場者数を記録し、過去の開催回とも引けを取らない大盛況のイベントとなりました。
■2019年の来場者数
イベント開催日 | 来場者数 |
8月27日(火) | 6,893名 |
8月28日(水) | 7,389名 |
計 | 14,282名 |
イベントへの参加方法
「ロジスティクスソリューションフェア2019」に一般来場者が参加するには、「当日参加」と「公式サイトからの事前登録」の2つの方法がありました。
「当日参加」の場合は、会場の入口で受付を行い1000円の入場料を支払う事で、イベント会場に入る事が出来るようでした。
「公式サイトからの事前登録」を行う場合は、所属企業や興味のある技術などの情報を、サイト上の登録フォーマットに入力することで、無料で入場が可能となっていました。
また、興味のある技術やソリューションについて事前に入力することで、WEBサイト上の「来場者サービス」が利用でき、そのジャンルに優位性を持つ企業とのマッチングが行える仕組みとなっていました。
今回は、事前に入手できる情報量の多さと、入場料が無料となるメリットを考慮して、公式サイトからの事前登録を行ってイベントに参加しました。
出展企業/サービス
「ロジスティクスソリューションフェア 2019」には、NECや富士通、日立などの大手企業や、魅力的な自社製品/サービスを持つ中小企業など、95社が参加していました。
会場では、ドライバー向けに最適な輸送経路を提示するシステムや、人的資源/在庫状況を管理するシステム、経営層向けのビジネスモデルの管理システムなど、ロジスティクス分野の業務に役立つ様々な製品やソリューションが展示されていました。
本イベントに期待したこと
「ロジスティクスソリューションフェア 2019」への参加にあたり、私が興味を持って積極的に見て回りたいと考えていたのは、以下の4つの事柄についてです。
- RPAによる自動化/業務効率化ソリューション
- ビッグデータの活用事例
- BIツールによるデータ分析の手法/観点
- AIの活用事例
私は普段、ロジスティクス分野とは異なる業種を対象としたシステムを扱っています。
しかし、物品の管理状況の確認、所在管理、定型業務の自動化などの業務効率化、大量データの可視化やリアルタイム分析といった「ロジスティクス分野と共通の課題」が多数あるため、自分の専門とする領域で活用出来る製品/ソリューションが無いか、興味を持って本イベントに参加しました。
特に、今回のイベントでは、AIやIoT、RPAなどの最新技術やソリューションに焦点をあてたイベントとなっていたため、何かしら参考になる情報が手に入るかもしれないと期待をしていました。
また、ロジスティクス分野の業務では、大量に存在する商品の仕分けや在庫管理、所在の把握、配送時の最適なルート選択などに強みを持つ製品やソリューションが存在すると期待していたため、以下の5つのポイントを特に意識してイベントを見て回りました。
・施設あたりの資材の利用率/負荷状況などをリアルタイムで分析/可視化する製品やソリューションがあるか?
・物品を適材適所に配置出来るよう、現在の所在が即座に把握出来るサービスがあるか?
・出荷票の自動入力や商品の仕分けなど、定型業務の自動化にはどんなものがあるか?
・プールした大量データを活用した傾向分析/活用事例にどのようなものがあるのか?
・最適な経路の判別やリソース配分案の提示など、AIの活用事例にはどのようなものがあるのか?
個人的に興味を持った製品/サービス
本イベントに参加してみた結果、様々な素晴らしい製品やソリューションに触れる事が出来ました。
当初から興味のあった資材の在庫状況/所在把握、リアルタイムな情報分析が可能なシステムやサービスも多数展示されており、大変参考になりました。
その中でも、個人的に興味を持ったサービスとして、簡単ながら以下の2つをご紹介します。
どちらのサービスも「RFID(Radio Frequency Identification)」と呼ばれる無線タグを利用したソリューションで、私が求める課題の解決に役立つ可能性が高く、今後のサービス展開にも期待が持てる技術でした。
日鉄ソリューションズの「IoXソリューション」
公式ページ:https://www.nssol.nipponsteel.com/ss/iox/index.html#smartFactory
印象に残ったサービスの1つ目に、日鉄ソリューションズの「IoXソリューション」があります。
「IoXソリューション」とは、日鉄ソリューションズが取り組むIoT事業のことです。
「モノのインターネット」を意味するIoT(Internet of Things)と「ヒトのインターネット」を意味するIoH(Internet of Humans)の技術を組み合わせることで、現場での作業効率を向上/高度化するソリューションの実現を目指しており、様々な取り組みが行われています。
今回のイベントでは、RFIDタグを利用した「工場内での物品の数量/所在などの情報を管理するソリューション」が展示されていました。
このソリューションは、工場などの作業現場で利用する物品の一つ一つに、RFIDタグと呼ばれる無線技術を搭載した認識タグを貼り付けておくことで、物品の所在情報をアンテナが収集し、現在どこに設置されているのか工場のマップ上に表示し、物品の状況が一目でわかるようになっていました。
また、工場内に運び込まれてからの経過時間も管理しており、設置してから一定の時間が経過した資材はマップ上の表示色が段階的に変化し、長時間放置された物品が見分けられる仕組みとなっていました。
私も普段の業務のなかで、システムのエンドユーザーから「物品がどこに設置されているのか一目で把握できる便利な製品やサービスはないか?」と相談されたことがあり、リアルタイムでの情報の可視化やデータ分析にも関心があった事から、本サービスに大変興味を持ちました。
※新日鉄ソリューションズのRFIDソリューション解説ページ
宮川製作所の「持ち出し管理システム」
公式ページ:https://www.msk.co.jp/
印象に残ったサービスの2つ目は、宮川製作所の「RFIDを用いた持ち出し管理システム」です。
こちらも先ほどと同様のRFIDタグと、宮川製作所が独自で開発したアンテナを利用した技術で、物品の持ち出し/返却情報をシステム上で管理する事で、忘れ物や紛失を防ぐサービスです。
物品の情報はRFIDタグにあらかじめ登録しておき、持出し/返却時に読み取り用のアンテナ上に物品を置くと、持出し/返却情報がシステム上に記録される仕組みとなっていました。
持出した物品の種類や数量だけでなく、誰が、何の目的で、いつ持出し/返却したのかがシステム上で管理できるため、返却漏れやチェックミスの防止につながります。
こちらの製品は、普段の業務で物品の数量チェック/現品確認に時間を取られた経験があり、顧客先や自分の勤務先の双方で、すぐにでも利用できそうだったため印象に残りました。
※宮川製作所のRFIDサービスのニュースリリースページ
イベントに参加した感想
「ロジスティクスソリューションフェア2019」に参加して感じた事として、「ロジスティクス」分野のITソリューションでは、ハードウェアとソフトウェアの双方の良い点を活かした、バランスの取れた業務改善が行えているという印象を受けました。
私が普段従事している業務では、いくつかのシステムを連携させた業務効率化を図る動きはありますが、ソフトウェアのみを活用した課題解決に偏っている事に気づかされました。
また、本イベントに参加する直前には、ロジスティクス分野の業界では「大量の商品や伝票を捌く必要があるはずだが、検品や仕訳をどのように行っているのか?」という疑問がありましたが、あらかじめRFIDタグなどのハードウェアに製品別の情報をインプットしておくことで、仕訳の手間や人的ミスを避ける事が出来るうえに、大量データを一度に読み取れるリーダーやアンテナを用いる事で、リアルタイムな状況把握やデータ分析にうまく繋げている点など、大変参考になりました。
今回展示されていたサービスは、工場内や事務所内など、アンテナを設置した場所でしか利用できないことや、アンテナの読み取りスピードや精度の問題など、現時点では多少の制約がありそうでしたが、どのソリューションも「ロジスティクス」以外の分野でも転用できる可能性を感じさせてくれるものでした。
まとめ
今回は、「ロジスティクスソリューションフェア2019」のイベント概要や、印象に残ったサービスの紹介などの体験レポートをご紹介しました。
展示されていたサービスや技術レベルが向上することで、別の業界にも転用が出来る可能性を感じられたため、本イベントに参加して良かったと考えています。
みなさんも、興味があるイベントがあれば積極的に参加し、最新技術や業界の動向について情報収集してみてはいかがでしょうか?